地方自治体のDX(デジタルトランスフォーメーション)は、単なるIT化ではありません。人口減少という課題に直面する地方において、DXは新規ビジネスを生み出し地域の持続可能性を高める重要な戦略ツールとなります。地方にとって真に必要とされるDXの方向性を考察します。
自治体のDXは二軸に分かれる
地方自治体のDXは、大きく2つに分かれると思います。「内部向けDX(現在の住民サービス)」と「外部向けDX(移住・観光等)」です。この両輪がバランスよく機能してこそ、自治体DXが実現できます。
-
内部向けDX
- 行政手続きのオンライン化
- 窓口のデジタル化
- 職員事務の効率化
- 外部向けDX
- 観光促進
- 多言語対応
- 移住促進
これらの施策を組み合わせることで、地域の活性化は実現に向かいます。これらが円環のようにつながっていることが大事で、個別に事業(アプリやシステム)が展開するのは本来望ましくありません。
内部向けDXの事例
- 行政手続きのオンライン化
- 各種証明書の遠隔発行
- 申請や手続き(税申告等)のオンライン化
- マイナンバーカードを活用した電子手続き
- 窓口のデジタル化
- 予約システムの導入
- AIによる問い合わせ対応
- キャッシュレス決済の採用
- 職員事務の効率化
- 定型業務の自動化(データ入力・集計)
- 書類のデジタルアーカイブ
- AI要約、自動文字起こしによるペーパーレス会議システム
外部向けDXの事例
- 観光促進
- デジタルマップによる観光案内
- 仮想現実を活用した旅行体験
- AIカメラ収集
- 多言語対応
- 多言語対応デジタルサイネージ
- 多言語音声ガイドシステム
- 多言語対応AIチャットシステム
- 移住促進
- オンライン移住相談システム
- バーチャル見学ツアー
- NFT・DAO等のデジタルプラットフォーム
防災・危機管理のDX事例
これは、内部DXに含まれると思いますが、地震大国である日本にとって、特に大きく扱うべきは防災・危機管理のDXです。
- 災害情報収集・分析システム
- 情報配信システム
- 避難・支援管理システム
- 防災訓練・教育支援システム
- 災害対策本部(緊急避難所)システム
地方自治体DXの目的
上記に挙げたものが、もちろん、すべてではありません。大切な事は、DXは手段であって目的ではないということです。
- 内部DX(住民満足)
- 住民サービスの質の向上と行政運営の効率化(転出抑制)
- 外部DX(地域活性化)
- 交流人口・関係人口の創出(収入拡大)
- 防災DX(人命尊重)
- 目的:住民の生命・財産の保護と強靱化・被害最小化からの復興
最後に
要件をすべてみたすDXは存在しません(それはかなりの高額です)。また、ツール選定・導入が先にくると、本来の目的を見失います。目的に近いツールを探し、課題があっても知恵でカバーする運用方法が望まれます。
ブログ一覧
kinochannel.jimdofree.com Blog Feed
今さらきけない地方自治体に必要なDX (金, 13 12月 2024)>> 続きを読む
デジタル経営 伴走支援します 愛媛の中小企業団体様・支援機関様へ (Mon, 02 Dec 2024)
>> 続きを読む
提案は「ターゲット」ではなく「誰のために」と考える (Tue, 19 Nov 2024)
>> 続きを読む
今さら聞けない[デジタルリテラシー]とは (Fri, 15 Nov 2024)
>> 続きを読む
社員がマーケティング志向になるための行動習慣化 (Wed, 13 Nov 2024)
>> 続きを読む
今さら聞けない[リスキリング]とは (Mon, 04 Nov 2024)
>> 続きを読む
今さらきけない「ソリューション」とは (Mon, 04 Nov 2024)
>> 続きを読む
PFS(成果連動型民間委託契約方式)とは 内閣府HPより (Mon, 21 Oct 2024)
>> 続きを読む
WEBサイト制作におけるリスキリングのすすめ(情報発信能力の再習得) (Wed, 02 Oct 2024)
>> 続きを読む
ITコーディネータを目指す方へ。試験一発合格!試験勉強対策とケース研修についてお話します (Tue, 01 Oct 2024)
>> 続きを読む