自治体のシステム課担当者様へ。チャットボットの導入している地方自治体は多くあります。チャットボットの多くは、コロナ渦において非対面・非接触の対策としてはじまりました。自治体サービスの案内が基本ですが、アフターコロナの現在、自治体のチャットボット運用は課題が多いと思います。ここでは地方自治体の導入しているチャットボットの課題と本来こうあるべきではないかという記事を書きます。
地方自治体のチャットボット 主な利用シーン
- 組織の案内・問い合わせ先
- 観光・イベント情報
- 住民サービス・申請
- 施設利用案内
- 防災・防犯情報
- ごみ分別
- 医療・健康
- 教育・育児相談
- 保険・税金
- 他特定の事業における問い合わせ窓口
地方自治体のチャットボット よくある課題
- すべての組織部門を対象にしており、範囲が広すぎる
- すべてを「フリーキーワード」で検索する仕様になっている。回答結果が広すぎて目的にたどり着きにくい
- 利用者が求めている情報に対して適切に回答できていない
- 情報が最新のものに更新されない
- 多言語対応ができていない
- 利用者が操作方法を理解できていない
- ユーザーの個人情報が漏洩する可能性がある
- チャットボット利用が困難な方への配慮
- 補佐としてのチャットボット利用の限界
- AI(ChatGPT)の検討
地方自治体のチャットボット あるべき姿
- カテゴリを絞るか並び順を見直すことが望ましい。
- 地方自治体でのサービス範囲にフリーキーワードは広すぎる。選択式による正しい回答への導きが望ましい。
- 回答経路や回答の内容を常に改善していくことが望ましい。
- 回答に対してホームページに掲載された最新の記事が反映されることが望ましい。
- 多言語のメニューを設置するか、自動翻訳に対応することが望ましい
- 操作方法などのユーザガイドを明記する。庁舎にタッチパネルを置きフィードバックを得るのが望ましい。
- 個人情報の入力に関するガイドラインとプライバシーポリシーを明確にして、セキュリティ対策と共に掲示する
- タッチパネルや音声に対応した選択式の簡易なバリアフリーチャットボットを検討する。
- 独立したサービスとしてチャットボットを機能させるべき(ウインドウを分ける、メニューを独自のものにする等)
- 専門グループを立ち上げた上でガイドラインの策定や利活用にむけたAPI導入の検討をはじめるべき
地方自治体のチャットボット まとめと今後の予測
職員スタッフの煩雑さや混雑を防ぐための対策としてチャットボットはありましたが、地域住民に有効活用されるには、利用シーンを明確にしたうえで限定し、回答の質を向上させ、情報をアップデートしていくことです。現状は設置しただけでその使命を終えてようなところがあります。ChatGPTの検討は良いですが検討不足のまま導入すると、自治体の意図や総合計画と離れた運用になってしまうかもしれません。利用者の聞き方(プロンプト)によって回答が左右される可能性があるからです。まず、住民にとっての本当の利便性とはなんであるのか、ホームページそのものの構成・操作性を検証した上で現状のチャットボットを見直すべき時だとおもいます。
追記:生成AIの地方自治体導入検討について
最近よく話題になる地方自治体の生成AI導入ですが、これにはメリットも課題も多くあります。記事生成の効率化、書類や計画書の素早い作成等による職員の負担軽減は、同時に人員削減にもつながり、将来的な人口減少に対する施策にもなるでしょう。
一方で、倫理的な問題、公務を正確に表現する文章になっているか、生成AIであることを見抜ける監査機関に人員を配置できるか、庁舎内でそもそも運用やリテラシーを保てるのか。個人の私的利用が制限しきれない、回答結果の担保に限界がある、などがあります。生成AIのこうした課題は、過去になかったテーマとして議論されていく可能性が高いと思います。
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