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自治体のチャットボットはなぜ効果が出ないのか

チャットボットは、行政をはじめとするパブリックサービスの分野で、メリットが数多くあります。自動回答や24時間のサポート対応が主なものです。しかし、一方で利用者からは不満の声もあると思います。ここではチャットボット業務の課題について書きます。

課題1:チャットボットが利用者に寄り添っていない

 利用者からの不満の一つは、チャットボットが似たような回答を繰り返し、利用者に寄り添った回答を提供していないという点です。結果的に使えないチャットとして認識されます。この問題の多くは、チャットボットの更新・チューニングの回数が不足していることが要因です。

 

一度作成したチャットボットを公開したまま放置すると、サポートレベルが低下します。利用者が使うごとに要求が上がっていくからです。WEBサイトに古い情報があれば新しくして、新着情報を上げていくように、チャットボットの回答も、定期的にアップデートする必要があります。

 

利用者は、人のサポートと同じレベルの対応をチャットボットにも期待します。自動回答であるからといって、サービス低下の言い訳ができません。

課題2:チャットボットが発達しても、人間の業務が変わっていない。

別の理由は、チャットボットの導入をせっかくしているのに、人のサポートレベルに変化が見られないことです。チャットボットと同じ回答をスタッフが回答する場面もあり、人ならではの気配りがない状況では、それは問題となります。

 

その要因はスタッフ自身の意識の問題ではなく、導入側が、チャットボット導入にあたって、人の業務をどのように変えていくかを計画していない点です。業務改革を個人の意識改革に任せている部分があります。

  

例えば、民間企業のサポート電話においては、電話をかけた時に、プッシュコールによりできる限り自動応答を優先し、人の介入が必要と判断された場合にスタッフが代わって対応するようなプロセスがあります。代表以外の電話番号を掲載していない企業も多くあります。

 

行政やパブリックサービスでは、電話番号の多くは公開されており、チャットボットの利活用範囲は、事業すべてではなく、限定したサービスやカテゴリであることが多いです。膨大なサービスの情報をチャットボット用に再構築できないからです。

課題3:人間が現場で同じ仕事をしている。

庁舎など現場での対応においてもアプローチが同じです。メインは相変わらず人のスタッフであり、しかも大量にいます。(自動作業が増加したために余っている人を配置しているのかもしれません)

 

チャットボットが総合カウンター役を務めていないのです。チャットボットと人が、同じスタートラインでサポートを行っていることが多いのが現状です。

 

これを変えるために、例えば、利用者が来たときに、最初に職員が対面するのではなく、自動応答のタッチパネルを設置することが考えられます。このような設計を行うことで、チャットボットの役割を最大限に活かしながら、人の手によるサポートを提供することができます。チャットボットの自動応答活用を推奨し、その後必要な場合にのみ人のサポートが登場させるような方法が、施設においても求められます。

まとめ

自治体サービスの原則は、住民のニーズに公平に応えられるかどうかです。質問に対し柔軟な回答を提示するような機能(これは生成AIの分野でもあります)を高額な費用で実装するより、これまで累積した質問と回答を整理した上で選択式のチャットボットを設置する方が、結果的に顧客満足向上につながると思います、しかし、この実装には設計に時間がかかります。本来、WEBで人と同様のサポートをしようと思えば、自動化と効率化を手に入れる代わりに、しっかりとしたデータベースを見直し、構築すべきなのです。

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